魔王「…、今日はもう疲れた。悪いけど、ひとりにしてもらえる?」
幹部D「は、わかりました」
………
魔王「……」
魔王「まあ、そりゃ、そうよね。きっとぜんぶ…、はじめからそうなる決まり事だったのね…ひっ」
魔王「…ぐす…ぐす…、う、う…、ひっ…、ひっ…ぐす…ぐす」
…………
魔王「…、今日はもう疲れた。悪いけど、ひとりにしてもらえる?」
幹部D「は、わかりました」
………
魔王「……」
魔王「まあ、そりゃ、そうよね。きっとぜんぶ…、はじめからそうなる決まり事だったのね…ひっ」
魔王「…ぐす…ぐす…、う、う…、ひっ…、ひっ…ぐす…ぐす」
…………
それから…
新たに誕生した勇者と魔王との闘いは熾烈を極め…長い年月が流れた。
人間界は、魔王軍の侵攻により人口の全体の半分以上が亡くなった。
一方で、魔王軍も勇者とその一行の手によりその大半が氏に絶えた。
そして。
魔王城
少女「はああ!!ギガスラッシュ!!」
魔王「がはあっ!!」
少女「はあ、はあ……」
……
魔王「(あー、やばい。体がもううごかないや。
幹部クラスもみんな殺されたし。わたしもここまでか…)」
魔王「(もういいや。ちゃんと、役割果たしたよね、わたし…ええと魔王として、
最後、何言えばいいんだっけ?たしか…おじいちゃんに習ったセリフは…)」
魔王「勇者よ…、よくこの魔王を倒したな…、しかし、私にはみえている。…この先の未来、
このわたしを継ぐものが必ず、人間界を再び、恐怖のどん底に…」
少女「……、ばっかみたい」
魔王「……」
少女「そんなテンプレのセリフ、どうでもいいから」
魔王「……え」
魔王「え、けど、貴方だって最後に魔王を倒したときにいうセリフとかあるんじゃ」
少女「うるさいっ…あなたにだけはそんな他人行儀なセリフ吐かれたくないっ…!
ぐす…ぐす」
魔王「え…何泣いてるの…?」
少女「だ、だって、だって…あの日」
少女「わたし…、お、お父さんとその仲間の人が夜、貴方を連れていくのを…観てた…、
たぶん、何かひどいことされるかもって、感づいたのに…、
少女「けど…わたし、怖くて…、止められなかった。ごめんなさい…」
魔王「……、あー」
魔王「…あーあったねそんなこと。
…もういいよ。別に。どーせ、どーなったってこうなる運命だったんだし」
魔王「わたしだって、その腹いせに人間頃しまくったし、もういいよ」
少女「そうだよ…!、それにしたってやりすぎじゃん!!
人間界めちゃくちゃじゃん…半分くらい氏んで…、私の親戚も故郷も、友達も全部全部なくなって…
みんな…氏んじゃったじゃん…!
少女「こんな取り返しのつかないことして…!こんなの倒すしかないじゃんっ!どうしたって
許すことできないじゃんっ!」
魔王「うん…ごめんそだね」
魔王「けどそれが私の役割で…私の倒すのがあなたの役割だったんだよ、
だから、もう、最後にあなたの手で……」
少女「どうすんのよ、ねえっ!」
魔王「いやだからあの」
少女「小説持ってきたのにどうすんのこれっ!」
魔王「ええ…?」
少女「小説っ!あ、あなたが絶対見せてって、約束だからっ!そう言ってたからっ!
わ、わたし、旅しながら、ずっと書いててっ!あなたに見せるためにっ!
け、けど、もうっ、そんな関係じゃなくなってっ!なんか頃しあってさあ!
わけわかんないっ!」
魔王「…完成したんだ、小説」
少女「したよっ、ばかっばかっ!けどもうどうしょうもないじゃん!あなたもう
氏ぬし、もうっ…私もなんで持ってきたかわかんないけど…、けど、約束だったし!
あ、あなたとの約束だったから…」
魔王「みせてよ」
少女「え?」
魔王「みせてよ、小説」
魔王「そっか恋愛ものかあ…」
少女「ぐす…、そうよ、悪い?」
魔王「いや…、だからあんなに恥ずかしがってたのかって…、ふーん、こういうタイプの男が好きなの、あなた?」
少女「ち、違っ、…これは小説の登場人物がそういうキャラなだけでっ」
魔王「ええ、けどこの主人公はあなたにそっくりだわ…、それで、この主人公の友達は…、ふーん、そっか」
少女「何よ、それよりどう、おもしろい?」
魔王「うん、まあまあ…、けど、なんかこれ、主人公と男の恋愛より、主人公の子と友達がメインの話のほうが面白いような…」
少女「そっか…、うん。わたしもそんな気がしてた。なんか途中から男キャラいらんかもって、途中から友達のキャラが立ってきて、コンセプトもぶれていって…」
魔王「あー…なんかわかる気がする」
魔王「それで後半の話は…あ、ごめん…、手がうごかなくなってきた…、目もうつろに…
ごめん、代わりにもって、ページめくってもらえる?小説、…最後まで、読んでから、逝くから」
少女「うん…これでいい?みえる?」
魔王「うん…、うん」
魔王「……」
少女「……どう、次ページめくる?」
魔王「まだ……、」
少女「めくる?」
魔王「…いや、まだだって…、あ、けど、あのね」
少女「うん…?」
魔王「ほんとごめん。けど、ありがと…ね」
少女「……、うん、わたしも…、ごめんね。ありがとう」
………
「せい、先生っ」
少女「ふぇ…?」
編集者「ふぇ、じゃないですよ。何寝てるんですか、原稿!いつまで待たせるんですっ?はよしてくださいっ!
ここで待ってますから」
少女「は、はいっ、ごめんなさいっ!」
……
少女「あの、後ろに座って待っていられると、なかなか仕事がはかどらないのでやめてほしいというか」
編集者「だめですよ、またあなた寝ちゃうでしょう…、しかし、まあ、あなたも変わった人ですね」
編集者「数年前まで勇者として魔王軍と氏闘を繰り返し、その果てに世界を平和にした人が…
いまは売れない小説家だなんて…意味不明です」
少女「う、売れてないことないでしょうが…、さいきんは多少は…」
少女「けどまあ、もともとの私の性分はこっちだっただけですよ。夢見がちで妄想が好きな引きこもりでしたし。
勇者やったのは、たまたまそれが運命だっただけです。ほんと運悪くたまたま」
少女「褒められることでもないです、たんたんと役割を果たしただけですよ、わたしも、あの子も…」
編集者「あの子…?先生、誰の事…、」
少女「…っ、」
編集者「あれ、どうしたんですか、先生?え?もしかして、泣いて…」
少女「も、もういいでしょ、気が散りますからっ!いいから外で待っててください」
編集者「ああ、はいはい」
編集者「ふー、やれやれ」
編集者B「どうでした?」
編集者「追い出されましたよ。まあ、残念ながら、今書いてる作品もなかなか売れんでしょうが…
せっかく魔王軍との激闘を繰り返してきたんだから、その自伝でも書いたほうが売れそうなものだけど。そういうの嫌いなのかな」
編集者B「そうでしょうね。なんせ、先生が描く作品は、基本、女の子2人で仲良く、のんびり暮らすだけの話ですし」
けど、なんか心温まるし、いい人はいいっていうし。私もいいとおもうんですけど、先生の小説」
編集者「いや、わたしも先生の作品は好きですけど。登場人物かわいいし。けどなんで同じような話ばっか描くのかなって…」
編集者B「うーん、どうも、昔聞いた話だと、初めて小説を読んでもらった相手のアドバイスをもとに、
今も同じテーマで書き続けてるみたいなこと、いってたけどね」
編集者「へえ、そりゃあどこのどいつですかね、けど、それがほんとなら、先生は、今もその人のために小説を
描き続けてるのかもしれないですね、それって、なんていうか、先生ってば」
編集者B「ああ、なんというか、乙女ですよね」
……
少女「ぐす…、ぐす…、…、くしゅんっ」
おしまい
夢オチかよ
なかなかいい短編やった
おもろいね君
ポストフリーレンいけるよねこれ
VIPでssスレとかいつぶりだよ
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